歯科口腔外科
歯科口腔外科とは、親知らずの抜歯や嚢胞の摘出、顎関節症の治療など外科的な処置を行う診療科です。お口の中とその周辺には、さまざまな病気が起こります。中には、生活や食事に支障をきたすものもあり、場合によっては早急な治療が必要です。
親知らずの抜歯
親知らずは、上下左右の最も後ろにある第3大臼歯のことです。20歳前後で生えてくることが多いのですが、その生え方や本数には個人差があります。親知らずが横向きや斜めに生えていたり歯茎が被っていたりすると、細菌が溜まりやすいためにむし歯や歯周病のリスクが高まります。トラブルを繰り返すケースや周りの歯に悪影響を及ぼしているケースでは、早期の抜歯をおすすめします。
親知らずによる悪影響は次のとおりです。
- 隣の歯がむし歯になる
- 親知らずの周りの歯茎が腫れる
- 親知らずが口の中の粘膜を傷つける
- 噛み合わせに悪影響を及ぼして顎関節症を引き起こす
- 隣の歯が押されて歯並びが乱れる
顎関節症治療
顎関節症は、口が開かない、顎の関節が痛い、硬い食べ物を噛めない、顎に疲労感がある、などの症状が現れる病気です。噛み合わせの問題、歯ぎしり・噛みしめの習慣、ストレスなどの関与が疑われています。
顎関節症の治療方法
顎関節症治療の基本方針は、手術をしない保存的療法です。日常生活が少しでも快適になるように、要因を踏まえてアドバイスいたします。主な治療方法は、次のとおりです。
スプリント療法(マウスピースのようなものを装着)
行動療法(歯ぎしり・食いしばり、悪い姿勢などの改善を目的とした指導)
理学療法(筋訓練やマッサージなど)
薬物療法(筋弛緩薬や鎮痛剤など)
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりは、顎関節や歯に大きな負担がかかります。歯ぎしりは、ギリギリと音がするので家族やパートナーに指摘されて気づける場合があります。一方で、食いしばりは音がしないので、なかなか気づくことができません。
歯ぎしりの主な種類
歯のこすり合わせ(グラインディング)
歯の噛みしめ(クレンチング)
歯を食いしばる(くいしばり)
歯を鳴らす(タッピング)
歯ぎしりには、上記のような種類があり、総称して「ブラキシズム」といいます。また、睡眠中に起きるものを「睡眠中ブラキシズム」、起きているときに無意識に行うものを「覚醒時ブラキシズム」といいます。
ブラキシズムが引き起こすトラブル
・肩こりや頭痛、倦怠感
・歯のすり減り
・歯周病
・知覚過敏
・被せ物が外れる、壊れる
・歯や歯の根が折れる
・咀嚼筋や顎関節に負担がかかり顎関節症になる
ブラキシズムの原因
ブラキシズムの原因はストレスや遺伝などといわれていますが、完全には解明されていません。また、歯並びや噛み合わせが関連しているともいわれていますが、直接的な原因ではないとの見方が有力になっています。ブラキシズムの原因とされているものは次のとおりです。
- ストレス
- 遺伝
- 交感神経が活発になる
- 夜間の睡眠の途中に覚醒する
- 薬物の副作用
- 神経系の病気
- 顎顔面における癖や悪い習慣
ブラキシズムの予防と改善
ブラキシズムを改善するには、薬物や神経系の病気など明らかな原因がないか調べることが先決です。その後、歯のすり減りの程度、睡眠中の様子の聞き取り、起床時の症状などを確認します。また、スプリントを装着していただき、すり減りの程度からブラキシズムの症状の強さを判定します。
主な改善方法
睡眠の質の見直し
睡眠中の覚醒もブラキシズムの要因とされているので、睡眠の質を見直すことが大切です。
スプリント療法
マウスピースのようなものを装着し、歯ぎしりによる顎関節や歯への負担を軽減します。
ストレスの発散
食いしばりは、引っ越しや転職などによる生活環境の変化、仕事や育児などのストレスが原因となる可能性があります。そのため、ストレスをこまめに解消することが望ましいでしょう。
覚醒時ブラキシズムへの対策
覚醒時のブラキシズムは、何かに集中しているときに怒りやすいので、意識してやめることが大切です。食事や会話のとき以外は、上下の歯が触れないように意識してみましょう。
スポーツマウスガード
スポーツマウスガードは、ボクシングやラグビー、空手などの際に使用が義務付けられている装置です。既製品は口の形に合ったものではないため、ずれてしまう場合があります。オーダーメイドで作製するスポーツマウスガードは歯型を元に作製するため、優れたフィット感を実現します。
スポーツマウスガードの効果について
スポーツマウスガードを装着すると、ブラキシズムによって歯が折れたり顎の骨に大きな負担がかかったりするのを防ぎます。また、顔面に衝撃を受けたときの脳へのダメージを緩和します。オーダーメイドのスポーツマウスガードは、歯ぎしり・食いしばりに悩まされている方だけではなく、顔面に衝撃を受ける可能性がある格闘技やスポーツをしている方におすすめです。